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Phase3 『関連ビジネストップに聞く』

0610phase3.gif株式会社日本医療企画 『Phsase3』
2006年11月号
[医療機関経営に有効に活用できる独自の患者満足度調査サービスを提供]

 

 

「急性期」「療養」など7種類の汎用アンケートを開発

医療の質の向上や改善につながる患者満足度調査を提供する情報サービス企業として、2004年11月に設立された株式会社ケアレビュー。同社では、「急性期」「療養」など、医療機関の特性や種別に応じたアンケートを開発。調査を継続的に実施・分析する「患者満足度モニタリング」を中心に、医療機関向けサービスを展開している。

この10月から医療療養病床でスタートした食住費の自己負担化など、相次いで実施される医療費負担の増加に加え、連日報道される医療ミスへの懸念などを理由に、患者の眼差しが厳しさを増すなか、すでに数多くの医療機関で、さまざまな患者満足度調査が実施されているが、ケアレビューの加藤良平社長は、その実状について、「患者満足度調査は、あくまでも患者と医療機関とのコミュニケーションを円滑にする一つのツールであり、その結果をどう活かすかが重要です。しかし、現状では、アンケートの実施に多大な労力を要するあまり、①実施したことだけで満足してしまっているケース、②調査結果の分析が不十分なケース、③課題が浮き彫りになっても、その対応策や優先順位がうまく組み立てられず、結果を病院経営に有効に活用できていないケース、も多い」と指摘する。

こうした問題点を解消すべく、同社では、患者満足度調査の企画から、実施、回収、集計、分析まで、煩雑な作業の大半を一手に引き受けることで、医療機関の負担を大幅に軽減。実施するアンケートについても、①急性期、②療養型、③出産、④老人保健施設、⑤一般外来、⑥外来手術、⑦不妊治療――の7種類の汎用調査票を独自に開発・提供することで、他院との比較など、医療機関経営に資する効果的な分析を実現する。

アンケートでは、事務手続きをはじめ、情報提供、治療結果、施設、医師・看護師の対応など、医療機関におけるさまざまなサービスに対する設問を幅広く設けるとともに、患者の価値観を測る質問項目も設定。「治療の方針に対する考え方(治療の方針には自分の意見を言いたい・治療の方針は医師に任せたい)」「治療の費用に関する考え方(高くても最新技術・設備で治療してほしい・なるべく安く治療してほしい)」など、患者が医療機関に寄せる期待についても、二者択一方式で調べる。「患者さんの価値観を直接尋ねることは、これまであまり行われてきませんでしたが、患者さんの満足度を高めるためには、まず、何を期待しているのかを明らかにする必要があります」(加藤社長)。

他院との調査結果の比較に加え取り組むべき課題の優先順位も明示

一方、調査結果については、ベンチマーク分析、ポートフォリオ分析、セグメント分析、患者別分析――など、さまざまな手法で、詳細に検証する。このうち、ベンチマーク分析では、各設問項目について全国の医療機関との比較も実施。自院の強み・弱みの理解とともに、全国的にみた自院のポジションを把握することができる。さらに、調査を重ねるごとに、過去の調査結果との比較も示されるため、その間に行った改善活動の効果もチェックできる。

また、ポートフォリオ分析では、各設問項目の結果について、「患者満足度」を横軸に、「重要度」を縦軸にとった、2次元のマトリックス(「早急な改善が必要な、重点改善分野」「高い満足度を維持する、重点維持分野」「改善が必要だが急を要さない、改善分野」「当面対応が不要な、維持分野」)上にプロット。取り組むべき課題の優先順位が一目瞭然となることで、まず何に着手することが、患者満足度を向上させるために効果的なのか、把握することができるというわけだ。

このほか、「患者さんの一人ひとりの満足度は、その価値観やニーズによって異なるため、病院へ寄せる期待という観点からも満足度の分析が必要」(加藤社長)との考えから、患者別分析も実施。すでに同社では、患者の期待値を尋ねた設問の回答パターンを統計的に分析することで、「ゆっくりメンタルケア重視タイプ」「治療のためなら何でも犠牲タイプ」――など、患者を7つに分類し、それぞれのタイプごとに、「満足を感じるポイント」「不満を感じるポイント」を明らかにしているため、医療機関では、自院の患者タイプの構成比率はもとより、満足度を効果的に高めるポイントについても把握できる。

さらに、診療の際、数問の質問から瞬時に患者を分類し、患者のタイプに応じた対応を可能とする、新たなツールも開発している。

頑張っている人が報われよう個々の評価にも結び付けたい

もともと、民間の総合病院で、院内のマネジメントや組織改革に取り組んでいた加藤社長は、現場の医師や看護師らの「頑張っても報われない」という言葉を数多く耳にした経験から、「患者さんの声を「見える化」することで、一様に『患者さんのために頑張っている』と答えるスタッフが報われ、さらに、その声が彼らの評価に結びつく仕組みをつくり出そうと思いました」と、起業のきっかけを語る。実際、同社のアンケート項目には、特定の職員にむけたメッセージ欄(自由記述)も設けられているが、「ここに記載された病院や職員への数々のメッセージが励みとなり、職員のやる気が向上した」(アンケート実施医療機関)などといった声も聞かれているという。

また、今年9月からは、患者満足度調査メニューに加えて、病院の『職員満足度』をベンチマーキングする調査もスタートした。

加藤社長は、「次の段階として、患者や職員の意識が病院経営に与えるインパクトを定量化し、医師や職員の実際の評価に結びつくようなマネジメントの仕組みも構築していきたい」とさらなる意欲を見せる。

 

2006年11月01日 category : メディア掲載 
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