医療機関の職員満足度調査・患者満足度調査、医療に関するオープンデータ活用事業

患者満足度調査結果を公表する意義

昨年４月に医療広告規制が大幅に緩和されましたが、患者満足度調査結果は引続き「広告してはいけない」種類の情報とされています。「情報の客観性が不明であるため、誤解を与えるおそれがある」という患者保護の理由が示されていますが、本当にこのような規制は必要なのでしょうか？たしかに、病院が調査結果を”偽装”しようと思えばできないわけではありませんが、そのような理由で情報公開自体を認めないというのは、私は本末転倒のように思います。

一方で、インターネット上にはいくらでも「患者のクチコミ」と称した情報が溢れていますが、それに関する規制はありません。ネット上の書き込みの中にはかなり辛口な意見も多いのですが、私が多くの病院の患者満足度調査を実施している実感から言えば、かなり少数のエキセントリックな声ばかりが強調されてしまう傾向にあると思います。マスメディアの報道にも同じようなことが言えますが、病院で治療を受けて「満足している」人の声は、あまり表には出てきません。

そのような、いわゆる「サイレント・マジョリティー」と呼ばれる人たちの声を映し出す鏡として、患者満足度調査結果を公表することには大きな意義があると思います。たとえば「100人中90人が満足した」という調査結果を公表することは、「数人だけのクチコミ」よりも客観性の高い情報ですし、逆に「10％くらいは不満に思うこともある」と、医療の限界も同時に示すことによって、過度な期待を事前に抑えることもできるかもしれません。おそらく良識ある多くの一般市民は、そのような情報こそ必要としているはずです。

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もちろん不満に思う人をゼロにするのが理想であって、それに向けて努力することは必要ですが、「どのような商品やサービスもすべての人を満足させられない」ことも事実です。情報を規制するよりも、一定の基準にしたがった情報公開を義務付けて、その情報が”嘘”や”偽装”だった場合には処罰や社会的制裁を受けるというシステムこそ、現代社会にふさわしい制度だと思います。

幸いなことに（？）、インターネット上には医療広告の規制が及ばないので、患者満足度調査結果を公表する病院は増えてきています。以下にホームページ上で自主的に情報公開している病院を掲載しますが、いずれの病院も素晴らしい姿勢だと思います。ぜひ参考にしていただきたいと思います。