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職員満足度調査はベンチマークが有効

職員満足度調査を実施する機会が増えるにつれて、職員満足度調査のベンチマーキングは私が事前に考えていた以上に病院のマネジメントに有効なツールだという手応えを感じています。

職員満足度の調査結果は、他の病院と比較することによってその病院の強みと弱み、職員のモチベーションの状況が極めてはっきりとした形で可視化されます。職員の方々も協力的で真面目にアンケートに回答していただけるため、調査結果の信頼性も高く、報告時に「うちの病院は違うよ」というような否定的な反応をいただくこともまずありません。

職員満足度調査では、定量的な分析だけでなく、職員の声に関する考察も非常に重要です。個々の調査結果について言及するわけにはいきませんが、フリーコメントの内容を分析すると、その病院で提供されている『医療の質』をほぼ正確に見極めることができます。また、病院の経営課題の多くに職員はすでに気付いていて、解決のための手がかりが職員の答えの中にあるケースも少なくありません。

ただし、調査を実施するには、経営者にもそれなりの「覚悟」が求められます。職員の声を聞く以上は、多くの要望や期待に応えるだけの責任が発生することにも留意する必要があり、彼らの声を無視することは、調査を行うこと自体が逆効果になってしまいます。

調査結果の報告時には、できるだけ私自身が病院を訪問して、良いことも悪いことも客観的にお伝えするように努めています。理事長や院長をはじめ小数の経営幹部の方に報告して「覚悟を迫る」ことが多いのですが、調査結果を真摯に受け止めていただき、その場ですぐに生々しい議論が始まる場面に何度も遭遇しています。そして、そのような議論を通して職員に「適切なメッセージ」を発信することができた病院は、その後の経営と職員との信頼関係も大きく改善することにつながります。

経営者が現場の状況を的確に把握し、今後の病院のあり方を考えるためにも、職員満足度調査は極めて有効なツールです。優秀なスタッフのモチベーションを高め、競争に勝ち残る病院づくりのために、是非参考にしていただきたいと思います。

2007年12月01日 category : コンセプトノート 
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